レビュー

帰ってきたヒトラーは笑い事なのか?

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私のことを怪物だとは言うが、

その怪物を選んだのはお前たち国民なのだ。

ー アドルフ・ヒトラー 帰ってきたヒトラーより

ジョン
ジョン
この記事は、映画「帰ってきたヒトラー」を観た直後のレビュー記事だ。
ジョン
ジョン
ちょうど日本でも2019年の7月上旬、参議院選挙も近かったこともあり、ふとしたきっかけで観ることになった。
ジョン
ジョン
帰ってきたヒトラーはもしもあのアドルフ・ヒトラーが2014年のドイツに復活したらどうなるだろうかということを切り出しに、政治的な警笛をならすセミ・ドキュメンタリー映画である。
ジョン
ジョン
しかし観てみると日本でも聞きなれた問題があった
ジョン
ジョン
政治家なんて誰に投票しても同じでしょ?投票なんて行っても無駄。
ジョン
ジョン
世の中って一部の特権階級に牛耳られてて、下っ端が声を上げても握りつぶされるだけじゃん。
ジョン
ジョン
等々、国民が諦めムードに入ってしまい、無気力になったところにヒトラーが入り込んでいくという作品であった。

現在のドイツ国内では政治不信による不満の声が大きい

どうせ選挙なんかじゃ何も変わらない。そう思って諦めている人はドイツ国内でも目立つ。

 

ジョン
ジョン
厳密には2014年のドイツだが、今もまだ解決していない問題もある。
ジョン
ジョン
ドイツ国民は移民問題をはじめ人種問題やEUとの連帯についての問題をはじめ、色々と政治に辟易していた。
ジョン
ジョン
意外にも抱えている問題は日本と共通するところがあり、過去最低の出生率や若者の居場所がない社会というの問題もあった

 

ヒトラーの付き人になる現代人の青年ザヴァツキも、母親に甘えて実家暮らしの底辺の一人であった。

 

ジョン
ジョン
そんな時代にヒトラー本人も予想しなかった形で復活してしまうところから物語は進む。
ジョン
ジョン
多くの国民はヒトラーのことをただのよくできた物マネ芸人程度にしか思っておらず、嘲笑の対象にされる。
ジョン
ジョン
しかしヒトラーが街角の人々の声を聞けば、出るわ出るわの政治への不満と失望の声。
ジョン
ジョン
ヒトラーはそこに目をつけ、テレビメディアを通じて人々を鼓舞し、信頼を得ていくことになる。
ジョン
ジョン
また、ヒトラーも新聞やネットを通じて現代の情報を集める。
ジョン
ジョン
ヒトラーから言わせれば現代の極右勢力やネオナチなども子供だましも同然で、結局は安全圏から甘えているだけ、下らないパフォーマンスで何かした気になっているだけの稚拙な連中に過ぎなかった。
ヒトラーからすれば現代の極右政党などファッション政治でしかない。

ヒトラーとナチスドイツは過去の歴史だと笑うドイツ人

飽き飽きした歴史教育にはもはや誰も関心も示さなかった。

 

ジョン
ジョン
ドイツ国民は小学生の頃から徹底的にヒトラーについて勉強をさせられる。
ジョン
ジョン
だからヒトラーの存在はドイツ国民なら小学生でも知っているのだ。
ジョン
ジョン
しかしだからと言って、それを脅威だと感じる人は、ほとんどいない。
ジョン
ジョン
考えても見れば当たり前の話で、じゃあ例えば日本でも織田信長が現代にタイムスリップしてきたからといって、脅威に感じるだろうか?
ジョン
ジョン
または織田信長の意志を完全にコピーしたよくできた物まね芸人程度の言葉を脅威に感じる人など、どれほどいるだろうか?
ジョン
ジョン
多くの人は映画のドイツ国民同様、「すごく完成度の高い物まね芸人」程度にしか思わず、SNSで晒し者にしたりする程度だろう。
ジョン
ジョン
要するに、誰も警戒はしないのだ。
ジョン
ジョン
そのうち、どんどんヒトラーの演説と主張に賛同した人々がヒトラーに心酔していくことになる。
ジョン
ジョン
そんな中、一人の老婆だけは、ヒトラーを見て本人だと確信する。
ジョン
ジョン
老婆は言う、「最初はみんなこうやってお前の演説を楽しんでいた。」と。
あの時代の恐怖を本当に理解できているのは、あの時代を実際に生きた人のみだった。

ヒトラーは当時の国民が選んだ指導者である

 

ジョン
ジョン
これは民主主義国家の誰もが隠したい真実だろう。
ジョン
ジョン
ヒトラー及びナチスドイツは、当時のドイツでは合法的な手段で国民に支持され、政権を手に入れていたということだ。
ジョン
ジョン
つまり、バックボーンにはちゃんと国民がそれを望んでいた背景があるのだ。
ジョン
ジョン
大日本帝国の軍部による暴走などでもなく、スターリンのように弾圧する者を粛清して独裁政権を築いたわけでもない。
ジョン
ジョン
ヒトラーの独裁政権は、ヒトラーがクーデターを起こしたわけでも、国民を武力で弾圧したわけでもない。そんじょそこらの独裁者とは違う。

 

ヒトラーが国民の心からよみがえる可能性は十分にある

ジョン
ジョン
ここまで読めば理解できることだろうけど、ヒトラーは民主主義国家に政治への不満が高まると発生する劇薬のようなものだ。
ジョン
ジョン
そして恐ろしいことに、国民のほとんどは、免疫がまるでない。
ジョン
ジョン
教育というワクチンを半世紀以上もかけて与えていたのにも関わらずだ。
ジョン
ジョン
自分が体験したわけでもない過去の戦争の苦痛なぞ、今自分が目の前で受けている苦痛を前には何の抑止力にもならないのだ
ジョン
ジョン
結局のとこ、過去の歴史の苦痛は他人の苦痛でしかなく、自分の苦痛に比べたら些細なことでしかない。
ジョン
ジョン
そして歴史が過去の遺物、神話化してしまうのも仕方がない。実際に目の当たりにした人は年々減っていく運命さだめにある。
ジョン
ジョン
近い将来、第二次世界大戦の体験を語る人は世界中から消えることになる。
ジョン
ジョン
そうなった時には、ヒトラーの復活を体感で危険視できる人は居なくなることになるのだ。

最近になって、第一次世界大戦に兵士として参加した最後の一人が、この世を去りました。

これはつまり、もう第一次世界大戦の実体験を語れる者がこの世には居なくなったという意味になります。
クロード・チョールズ氏死去、第1次世界大戦で戦闘に参加した最後の生存者 110歳
 

100年経った今でも残る第一次世界大戦の爪痕

 

 

民主主義社会に責任を持たない国民

ジョン
ジョン
ヒトラーというのはもはや人物名ではなく、集団パニックの一つだと考えてもいいだろう。
ジョン
ジョン
人々の不満が募り政治もそれに応えてくれなくなったとき、国民の不満度に比例した過激な口調で国民の声を代弁する者が熱狂的な支持を得る。
ジョン
ジョン
これは歴史的に観てもヒトラーだけでなく、フランス革命時においても不満の溜まった市民が暴走したパターンともよく似ている。
ジョン
ジョン
しかし国民は所詮、政治に関しては無知でありまた民主主義国家でありながらも政治への責任感が薄いのだ。
ジョン
ジョン
その証拠に、選挙なんかでは何も変わらないと思っている人々がそうだ。
ジョン
ジョン
だから熱狂するだけ熱狂しておいて、最後に痛い目をみたときにこう言うのだ。

余談:悪魔城ドラキュラのドラキュラ伯爵

ジョン
ジョン
余談だが、悪魔城ドラキュラというゲームシリーズに登場する悪役、ドラキュラ伯爵はこの帰ってきたヒトラーと似た境遇にある。
ジョン
ジョン
彼は自分の意志で復活を遂げるのではなく、人々の堕落や悪意によって復活させられているという設定だ。
ジョン
ジョン
つまり、このヒトラーのようにその存在を崇拝され、その復活を望まれているからこそ何度でも蘇るというのだ。
ジョン
ジョン
このドラキュラ伯爵と今回のヒトラーには、双方とも人々の心の中に住んでおり、それを望む者によってこの世に産み出されているという共通点がある
ジョン
ジョン
つまり、この世を混乱させる悪役というのは、その悪役一人の手柄なのではなく、その存在を喜んでいる黒幕が居るからこそ栄えるということだ。
ジョン
ジョン
そしてその黒幕というのはほかならぬ、我々のような一人一人の人間なのだ。

まとめ

帰ってきたヒトラーが指摘すること
  • 国民の不満はヒトラーを作る温床となる
  • 歴史教育は現代人からすれば他人事でしかない
  • いつの時代でもヒトラーは国民の熱狂的な支持によって蘇ることができる

移民問題、EUとドイツ国民の温度差、若者、高齢者といった社会的弱者の不満等々、国民の不満を見てこういう時代こそ自分のような人間が栄える好機だと確信するヒトラー。

 

 

 

 

 

 

 

何故か別のヒトラーの作品「ヒトラー ~最期の12日間~」の名シーンでパロネタ。

というのも、実は両作品の制作会社は同じなのだ。

 

 

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